RADWIMPS

 これこそがまさしく地鳴り。ドでかい歓声とはもはや地鳴りそのものなのだ、と痛感するほどの大きな声。待たれていた登場、求められている音、声、言葉。“待望”が熱として、匂いとして、空気として溢れだしているのをまざまざと感じさせられたRADWIMPSの登場前から。彼らが出てくるのを待つオーディエンスはスタンディングフィールドに入りきらず、シートフィールドの前方にも押し寄せ、スカジャンは大混乱の様相を呈していた。みんなが待っていた。RADWIMPSの登場を。そんな彼らはステージ袖で出番を待っていた。ふつふつと湧きあがる気合や期待と向き合っているような、そんな表情が印象的だ。そして彼らがステージに飛び出す、先ほども記した“地鳴りのような大歓声”がステージに向かって響いた。歓声の塊を切り裂くように野田と桑原のギターが絡み合って『おしゃかしゃま』のイントロが鳴る。その瞬間、歓喜に飛び跳ねるオーディエンスによってぶわぁぁぁっと砂煙が舞う。武田のベースと山口のドラムが小刻みに紡ぐリズムが鼓動を逸らせる。9000人の熱とステージの4人の熱が融合し、昇っていくと夕闇さえも進むのを止めてしまいそう。2曲目は『05410-(ん)』。英語詞だろうと日本語詞だろうと一言一句逃すまいと共に歌い、熱のままにステージへと手を伸ばす観客たち。「超楽しーーーっ!」と野田の声に、稲佐山が同調。またも地鳴りで応える。ここはRADWIMPSへの愛でいっぱいなのだと思う。心から。そんな時、クラップ音が響きはじめ「えっ!本当に!?」と聴衆がざわつく。そう。愛が詰まった彼らの名曲『いいんですか?』だ。曲の中にいくつもの表情を宿しながらも優しく笑顔を生む素直でまっすぐな1曲で会場はピースフルな空気に包まれる。サビを数小節、お客さんの歌声だけを響かせると「超きれーーー!」と笑顔を見せた野田。「後ろの方の声も聴こえてるよ!ありがとーーー!」と喜びの表情に。続く『ます。』はガラリと雰囲気を変えて轟く音が洪水のように稲佐山を席巻し、誰もが高く高く跳ねる。宙に浮くほどアガる一曲を終えると野田が語りだした。「長崎本当に楽しいです。ありがとう。僕ら今年はフェスは2つ出たんですが、このフェスは写真を見て、みんないい顔をしてるなって思って“ここ出たいです”ってお願いして出してもらいました」。温かな拍手に包まれる会場に、メンバーへと届いたRADWIMPSフラッグが登場。ファンお手製でRADWIMPSを愛する人たちからのメッセージが書き込まれたものだ。そんな愛を一心に受けてのラストは『有心論』。愛を求め、愛を与える歌。今年のスカイジャンボリーの、RADWIMPSのステージの最後にふさわしい曲。愛する人を想う気持ち。そのために傷ついたり、前を向こうと決意したり。人間らしいこの曲は長崎の空へと広がり、それはまるで彼らの名を刻むような景色だった。

photo

photo

photo

photo

top ページのTOPへ
Ken Yokoyama

 始まるなりダイブ続出。ひっきりなしにオーディエンスの頭の上を飛んでいく無数のダイバーたちの姿と「Oi!Oi!」と高らかに響く声と共に凶暴なまでのリフとビートが駆け巡るKen Yokoyamaのライブが稲佐山でスタートした。日も暮れかかり、空に浮かぶ月がステージを見下ろしている中、1曲目は『Pressure』。怒涛のビートはオーディエンスという海原に激しい波を巻き起こし、その波の、放たれた音を飲み込まんとするほどのパワーをものともしないKen Yokoyama Bandの音が暴れる。そんな『Pressure』の音が止むと、息つく隙間も与えずに『Ten Years From Now』の唸りをあげるギターに観客のテンションはグングン加速。Ken Yokoyamaここにあり、と告げるように、存在感という名の音とパワーとを山肌にぶつけられ、山肌からの返す音の波にも煽られるような気さえしてくる。自然の中の音や匂い、潮風や太陽が残した熱なんて入る隙間もないほどの横山の放つ音に圧倒されていた。視覚も聴覚も、そのほか全ての感覚をも根こそぎステージに奪われていく中、『How Many More Times』のメロディックなイントロが流れだした。高く手を挙げて共に歌うオーディエンス。生き様を詰め込んだような歌に声を重ねていく観客の歌声はどんどん大きくなっていく。
 「やっと来たよスカイジャンボリー。わたしも今日はBEAT CRUSADERSの九州ラストライブを見に来ました!」との横山のMCに、オーディエンスは大歓声を送り、再び盛り上がる準備に入る。いつだって観客を臨戦態勢にさせるのもKen Yokoyama Bandならでは。『Go With The Flow』ではギターリフに煽られたオーディエンスが疾風のように体を激しく揺らしていく。衝動と衝撃とが詰まるナンバーに稲佐山が震動するのを感じる。そして『Your Safe Rock』へ。機関銃のように撃ち込まれる轟音ビートとギターの旋律が全身を騒がせた後、続く『Stay Gold』のイントロに悲鳴にも近い絶叫と歓喜の声が湧く。Hi-Standardのライブでお馴染みだった名曲が鳴りだしたのだ。会場のそこかしこで見られた「PIZZA OF DEATH」のTシャツも宙を舞う。ステージからの太陽光にも劣らない音という光を浴びてここにいる全ての人が黄金色に輝くよう。出演者たちもステージ横で大盛り上がり。そして『Believer』での大合唱。9000人が想いをひとつにする。声の限り歌っているんじゃないかと感じるほどに精一杯歌い、ステージに届けとばかりに歌声に想いを乗せるオーディエンス。そしていよいよ夜の闇に浸食されはじめた会場に『Punk Rock Dream』が響き、歌声もどんどん大きくなっていく。一体感を生み、音楽への愛が詰まるメロディックな1曲に胸がいっぱいになる。そして最後は『Running On The Winding Road』。ハートに迫るイントロから爆音でギターリフ轟くとまるでそこら中で花火が打ちあがるように観客が跳ぶ。灼熱よりも熱いKen Yokoyamaのステージは全ての観客の想いを打ち上げるほどパワーに満ちたものだった。

photo

photo

photo

photo

top ページのTOPへ