佐野元春&THE COYOTE BAND
オーバーヒート気味だった会場の雰囲気を落ち着かせるかのように、Dragon Ashのライブ後から雨が降り出した稲佐山。(うっすら虹が見える時間帯も!)
小雨混じりのなか、ステージでは着々と転換作業が行われ(Dr)小松シゲル(Gt)深沼元昭(Gt)藤田顕(Ba)高桑圭(Key)渡辺シュンスケという凄腕ミュージシャン5人がサウンドチェックに登場。
時代に応じて様々なバンド形態で音楽を探求している佐野元春。初のSky Jamboreeは「佐野元春 & THE COYOTE BAND」名義での出演だ。
実は今回の初出演には伏線がある。
2015年に行われたサマーツアーの長崎公演(9月20日、DRUM Be-7)で「Sky Jamboreeに出たい」と、以前からこのイベントに関心があったことを口にしていたのだ。
そしてデビュー40周年だった2020年に出演が決定していたものの、2回連続で稲佐山でのライブ開催が中止となったため、今年ついにSky Jamboree出演が現実に!
サウンドチェック終了後そのまま5人は板付きで、DJ YUYAによるバンド紹介の直後に演奏をスタート。そしてステージ上手側から黒いグレッチとともに佐野元春が颯爽と登場。
オープニングナンバーは【禅ビート】
2017年の楽曲が現在の社会情勢にも当てはまるように感じる、これぞ元春の凄いところだ。オーディエンスも贅沢な音のシャワーを浴びながらいい表情でハンドクラップ。
2曲目は藤田のアルペジオから2013年発表の【世界は慈悲を待っている】へ。
小松、高桑の軽快なビートにあわせてイントロではタンバリンを叩く元春。3本のギターが存在感を放つなか、渡辺の鍵盤も必要不可欠なピースとして楽曲を引き立てる。
今日の出演者のグッズを着用した様々な観客が、みな1つになって体を揺らしている光景の何と美しいことか!
続いて2019年の配信シングル【愛が分母】に突入。
レコーディングにはスカパラホーンズが参加したSKAナンバー。ライブでは管楽器のフレーズを渡辺がオルガンで表現し、あたたかな雰囲気のバンドサウンドに。両手を広げ、全てのオーディエンスを愛で包み込むように歌う元春。
間髪を入れず四つ打ちのリズムを小池が刻み、2021年の配信シングル【銀の月】を披露。
この10数年の活動で培った「THE COYOTE BANDのグルーヴ」が凝縮された1曲。改めて6人の卓越した演奏力に酔いしれつつ、曲に込められたメッセージにも胸を打たれる。
水分補給などもなく、6人はすぐさま次の楽曲【純恋(すみれ)】へ。
雨上がりの稲佐山に響く爽やかなポップチューン。手拍子しながら体を揺らすオーディエンスも楽しげ。歌詞にリンクして「夜空の星に」で空を、「君がいなければ」で客席を指差すシーンも。
一気に5曲を披露してようやく初MC。
「パンデミックということでこれまでみんな我慢してくれたと思いますけど、最近ようやくいい感じになってきたんじゃないかと思います。音楽エンタテイメント、このいい感じを絶やさないように次の曲を歌いたいと思います。」
と、2020年春に発表された【エンタテイメント!】を演奏。
ストレートなビートと3本のギターが五感を刺激するロックナンバー。時折スタンディングで鍵盤を弾く渡辺がジェリー・リー・ルイスを彷彿とさせる。聴衆の雰囲気がそうさせるのか、元春は笑みを浮かべながら歌っている。
次の曲が最後と告げて「パンデミックが開けて(以降の)、次の世代のためにこの曲を歌いたいと思います。」と話して1984年のナンバー【ニュー・エイジ】へ。
THE COYOTE BANDは歌も歌えるメンバーが揃っているので、印象的なコーラスもバッチリ!元春はウィンドミル奏法で鋭くギターを弾いたり、頭上で大きくハンドクラップしたりしながら歌唱。観客も元春とシンクロして、芝生エリアの後ろまでみんなハンドクラップで参加。素晴らしい一体感とともに35分のライブパフォーマンスが終了!
デビューから40年以上、常に自身や音楽性をアップデートし続ける佐野元春。最新が最高であることを証明するようなセットリストと演奏だった!