Sky Jamboree 2022

SPECIAL REPORT

スペシャルレポート

日食なつこ



出演アーティストが異口同音にこう話す。
「Sky Jamboreeのお客さんはしっかりライブを観てくれるし、ちゃんと音楽を聴いてくれる。」と。
1ステージなので集中しやすいというのもあるが、大自然によって心が開放的になり「お目当ての音楽も初めて見聞きする音楽も全部楽しもう!」という“稲佐山マジック”が発動するからだ。加えてFM長崎主催のイベントとあって、出演者の曲や情報をラジオで予習している人が多いのも理由の1つだろう。

これから登場する日食なつこに関しては、Sky Jamboree出演決定よりもずっと前…2014年8月に「水流のロック」をSMILE CUTSとしてパワープレイして以降ことあるごとに楽曲をオンエアしてきた経緯があり、FMスタッフが「いつか稲佐山でライブを観たい!」と願っていたミュージシャンの1人でもある。



2019年11月に長崎県美術館で単身ピアノ弾き語りを行って以来となる長崎ライブ。今回は(Dr)komakiとの2人編成でSky Jamboreeの舞台へ登場!

ステージ中央に鎮座するグランドピアノへと闊歩する日食なつこ。真夏の青空を想起させるような紺碧の衣装が印象的だ。そしてピアノと向き合うようセッティングされたドラムにkomakiもスタンバイ。

注目の1曲目は代表曲ともいえる【水流のロック】
軽快なテンポでピアノを弾き始めた直後、客席からは自然とハンドクラップが発生!曲中オーディエンスのほうを見ながら「遊びましょうスカジャン!」と一言かけると手拍子がさらに増幅。あたたかな歓迎ムードが場内を包む。



1曲終えるとすぐに日食なつこのカウントから次の曲へ。耳馴染みの良い軽やかなサウンドとは裏腹に、歌詞がドキっとさせられると人気の【致死量の自由】だ。
シンプルなピアノのリフレインとスネアロールでじわじわと上がってゆくグルーヴ感。ピアノソロ明けではkomakiが観客にハンドクラップを提案。音源と同じリズムで手拍子を刻み、ステージと客席が一体となる場面も。

3曲目はkomakiのスティックカウントから【クロソイド曲線】へ。
坂が多い長崎の街並みに合う選曲だな、とニヤリ(筆者の個人的見解)。音階やリズムが複雑に起伏する曲を見事に表現する2人。10年近く一緒に演奏しているからこその阿吽の呼吸!聴衆も思い思いに体を揺らしながら聴き入っている。

そして「長崎といえば長崎中華街。長崎の中華街で鳴っていたらいいかもしれないな、と思う曲があったので持ってきました!」といって【LAO】に突入。
冒頭の「イー、アル、サン、スー!」というカウントやピアノの旋律、さらに中国提灯のような赤と黄色の照明も含めて、まさにチャイナ!ピアノソロはジャズフレーバーで西洋っぽさもあり、いろんな文化が混ざり合う長崎にピッタリのナンバー。(ちなみに佐世保はジャズの街といわれている。)

「待ちたまえ、待ちたまえ。長崎といえばもう1つ、端島=軍艦島もありますね。真っ黒い空っぽの船の歌を歌います。」と一言添えて【うつろぶね】を歌唱。
荒波や強風で劣化しつつも辛うじて耐える軍艦島と、曲の世界観とが確かにリンクするように感じる。(これから社会に出る若者は是非とも歌詞を読みながら音源を聴いていただきたい!)

5曲を終えて日食がMC。
「フェスでグランドピアノを初めて見た人も、弾き語りを初めて見た人もいるかもしれません。皆さん!フェスにグランドピアノがあるのは普通じゃないんですよ!日食なつこを名乗って13年くらいになりますが、フェスでグランドピアノを弾いたのはこれが初めてです。そして、多分もうないでしょう。改めてSky Jamboreeの規格外さに驚いています!」と笑って話しつつ、komakiも交えてトークを続ける日食。
「九州の暑い夏を一番楽しめる時間に出演させてもらえたので、こうなったら長崎の夏の暑さを食らい尽くして帰ってやろうかと思います。あと2曲、どうぞお付き合いください!(※上空を指差しながら)それにしても凄いですよ、入道雲が。皆さんはあの雲をみてどんなことを思い浮かべますか?ソフトクリームとかシュークリームとか?長崎の暑い暑い夏をたたえまして、ここに私が描いた入道雲の物語を置いていこうと思います。」

そう話して【真夏のダイナソー】がスタート。
ヨルシカのn-bunaがアレンジャーを務めたことでも話題となった夏ソング。青空の下で味わう爽やかなメロディと歌声の何と格別なことか!オーディエンスも気持ち良さそうに身体を揺らしながら手拍子を楽しんでいる様子。



「今日はステージがたった1つ。情熱を掲げる場所はたった1つ。この後のサンボマスターにせめてもの私たちの全力疾走の速度で繋げたいと思うので、最後は日食なつこの中でも1番を競うぐらいに熱い曲を持ってきました。また馬鹿な僕らで会いましょう!」

そう説明して歌い出したのは【音楽のすゝめ】
丁寧に歌詞を伝えるように観客のほうを見ながら歌う日食。その熱意に応えるべく、オーディエンスも手を振ったりハンドクラップでリアクション。
コロナ禍においてスケープゴートの対象となってしまった音楽・イベント業界。まだ大変な状況ではあるが夜明けは必ず訪れると信じて、幻でもいいから夢を見続けよう!という熱い思いが込められた楽曲でライブが終了。

「またね!」と笑顔をみせ、最後までしっかりと音楽を聴いてくれたオーディエンスに拍手を送る日食。その何千倍もの拍手がステージを降りる2人に送られた。

ライブ後のラジオコメントで「今年の夏のピークはSky Jamboreeに持っていくと決めていた。」と語った彼女。まさしくSky Jamboreeだけのスペシャルセットリストで会場を沸かせてくれた。

芯のある人間が奏でる音楽に触れ、心を鷲掴みにされたリスナーも多いことだろう!

(余談:日食は翌日レンタカーで島原方面へと出かけ、寒ざらしを味わうなど長崎県の魅力を満喫して帰ったのだそうだ。)

SET LIST

1:水流のロック
2:致死量の自由
3:クロソイド曲線
4:LAO
5:うつろぶね
6:真夏のダイナソー
7:音楽のすゝめ