ギラギラと痛いくらいに照りつける太陽の熱と共に“ロック・フェス”ならではの熱さを持っていたSky Jamboree 08の空気がこのイベントではお馴染みのRickie-Gの登場によって一気にビーチでの“サマー・フェス”のカラーに。
穏やかで優しいレゲエ・ビートが緩く響くと、さきほどまで砂埃を巻き上げていた稲佐山が潮風の似合う夏の昼下がりの雰囲気になり、オーディエンスはその優しくのんびりとした空気に浸る。七色の光を放つ『No
rain』。
海の青にも似たこの日のまっ青な空にぴったりなこの曲。
ギターの音が山をこだまし、潮風に乗って穏やかなメロディが会場に染み渡る。燦々と注ぐ太陽光を受け、カラフルに発色する虹のようなこの曲を形作る音の粒子を、オーディエンスは全身に浴びようと手を伸ばしている。
心地良いビートがダンサブルに躍る『Mr.Freedom』では楽曲の気持ちよさに海から吹き込む風が肌に触れて、心地良さを倍増させた。Sky
Jamboree 08のもうひとつの顔を知った気がする。ロックフェスとジャンルに偏りを持つわけではない。音を楽しむ。まさしく音楽のフェスなのだ、と。
「革命の歌を聴いてください」とRickieが告げて『No Peace No Life』へ。
パワフルなハープの音色と鼓動のようなビートが会場に響く。そのまま鼓動のビートは厚みを増し、大地の音となって『革命のとき』へと流れていく。行きては帰る波のようなボーカルとコーラスに身を委ねるとユラユラと体が揺れてくる。
Rickieの奏でる音楽が、歌が、稲佐山の木々の匂いと潮の匂いとを纏い、“Peace”の文字を脳裏に浮かばせる。そして紡がれる音の全てが風のようにそよぐ『134』のオーガニックな空気に、芝生の上で寝転んで楽しむオーディエンスも。とんぼまでもがステージの前に飛んできて、Rickieの音楽を堪能している。
満ち足りた時間と優しい歌が届けられ、温かな拍手が湧きあがり、観客たちが平和を意味するピースサインを高々とあげていたのが印象的だった。
「人間の1日はまるで生まれてから死ぬまでを小さく繰り返すように、朝目覚めたときに生まれて、夜眠って起きたときに生まれ変わるんだという言葉があって、その言葉を歌にしました」とRickieが言葉を落とし始まったのは『Born
again』。
静けさの中に優しい歌声とまっすぐなメッセージが響くシンプルな1曲は沈みはじめた太陽の柔らかな色彩を浴びながら穏やかに奏でられていく。
ふいに飛んできたのはシャボン玉。観客が作ったそれはピースフルな雰囲気に色を添えていく。ゆっくりと聴き入っていた観客に最後の曲のタイトルが告げられ、『Life
is wonderful』が鳴りだす。
歌の隅々まで大きな愛がいっぱい詰まったこの曲で稲佐山に集まった8000人の平和への想いがひとつになる。
人生は素晴らしい。シンプルだけれど見落としがちな大切な想いが
Rickieの歌と共に観客ひとりひとりのハートに明かりを灯していく。
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