スカジャン スペシャルレポート
   
   
     
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9mm Parabellum Bullet

 稲佐山を揺らす大歓声に迎えられた9mm Parabellum Bulletはドラムのカウントの音を聴くや楽器を掻き鳴らし、放たれた音は暴れながら稲佐山を駆け巡る。
五感の注意を根こそぎ奪い去り、五感の全てを惹きつける9mm Parabellum Bulletのライブは『Discommunication』からスタートした。

ヘヴィでアグレッシヴな音の中に切なさと哀愁とを漂わせるメロディックな歌が響き、オーディエンスの熱が上がっていく。
本能のままに楽器を鳴らすようにステージ上を暴れまわるギターとベース、 そして全身全霊のビートを叩き出すドラムの音が会場を席捲していく。畳み掛けるように続いたのは『Wander land』。ダイブにモッシュ。ステージ前は混沌の熱気を帯びる。

アグレッシヴと静寂とを併せ持つこの曲のエモーショナルなビートを掴もうと夢中で音の波に身をゆだね踊るオーディエンスに煽られるようにメンバーのテンションもあがり、その様子に会場もさらに煽られる。
音だけが繋ぐ無言の相乗効果で太陽光をも凌ぐ熱さが広い会場を包む。

「Sky Jamboreeーーーっ!!」。Vo&Gの菅原が絶叫する。本能のロックは天井知らずの熱気を呼ぶのか。

「1日のうち(イベントの時間は)ホント瞬きしているうちに過ぎてしまうから、皆さん気をつけて過ごしてください」。菅原の言葉の通り、彼らと音楽で繋がれる、
彼らの笑顔と共に笑顔になれる時間は1日の中のほんの数十分。瞬間、瞬間を味わいつくさなければ! 
そして『The World』のイントロが響く。ジャジーなのにアグレッシヴ。切なくも轟音で圧倒するこのナンバーでは力強い合唱が起き、聴衆はこの一瞬の時間をハートに焼きつけるようだった。

「まだまだいけるかー!?」の声に歓声があがり、再び会場が熱を帯びたところで『Termination』。頭を振り乱し雄たけびをあげるメンバーたち。どこまでもヘヴィで、どこまでもエモーショナル、そしてどこまでも攻撃的な音の粒子が歓声を纏い、さらなる高みへ。

ステージ上で暴れる4人に負けじと暴れるオーディエンスによって砂埃が舞い上がり始める。高く挙げられた手は下げられることなく彼らの音とバチバチとぶつかり合うよう。菅原がマラカスを振ると、そのマラカスのリズムに合わせるように四つ打ちビートがビートを刻む。先ほどまでと雰囲気を変え、この曲で会場は突如ダンスホールに。ステージの前のオーディエンスのモッシュは激しさを増し、丘の上でも皆、ビートを捕らえて踊る。

怒涛のラストまで。彼ら独特のジャキジャキと切り込む鋭いギターの音色とアグレッシヴなリフが刺さるロックンロールはSky Jamboree 08に9mm Parabellum Bulletという痕跡を残して行った。

「気持ちよかったですね。お客さんも熱くて、このイベントに出られてよかったです」。ステージを降りた菅原は笑顔でそう告げた。

Sky Jamboreeとは観客のみならず出演するアーティストをも笑顔にするイベントなのだ。
 
 
 
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ミドリ

 フェスならではの、今まで見たことのないアーティストとの出会い、というものがある。一体、今回のSky Jamboree 08が彼らとの出会いとなった観客はどれほどいるだろうか。

きっと生涯、忘れられないファースト・コンタクトになったに違いない。それほどの衝撃を与えたのがミドリだ。「Sky Jamboree 08にお越しのみなさん。はじめまして。ミドリです」と後藤まりこが告げるや、狂気にも似た音の強襲で踊らせるハードコア・パンク・バンド、ミドリのステージが幕を開けた。

「デストローイ!」の後藤の絶叫と共に響いたのは『ゆきこさん』。激情ピアノが轟き、隙間なく打ち込まれるドラムのビート、そして狂暴なまでに激しいベースの音と共にラウドに放たれる破壊的なサウンドとキャンディボイスとデスボイスの2色の歌声を巧みに操りオーディエンスのハートを右往左往させてしまう後藤のボーカルに会場の意識が一瞬にして奪われる。

その小さな体からこれほどのパワー漲る歌声が放出されるとは…と驚いてしまう後藤の姿。セーラー服ながらまるで特攻服だ。これは。戦闘モードで観客を煽る彼女のパフォーマンスは圧巻。『うわさのあの子』では阿鼻叫喚のモッシュピット。
衝動の音に合わせるようにモッシュするオーディエンスと共に彼らも体を激しく揺らし、ハードに音を繰り出していく。

インディーズ時代からのライブ定番曲でもある『ドーピング☆ノイズノイズキッス』が始まると、ステージの熱が会場の熱を呼び、その熱がさらにステージに注がれると熱波となって押し戻されてくるのか、会場の温度がぐんぐん上昇していくのを感じる。どこまでもアングラなようでいてどこかポップ。しかし圧倒的なパフォーマンス・パワーから目が離せなくなる。

「どうも大阪からやって来たミドリです」。言葉少なだけれどその表情、そしてステージの空気から伝わってくる。
彼らはSky Jamboree 08を楽しんでいるということが。

 『ちはるの恋』では歌謡テイストのレトロなサウンドにアグレッシヴなボーカルで踊らせる、パンクというよりもむしろ盆踊りのようなリズム感が軽妙に響く1曲。
圧倒されていた後方のオーディエンスも思わずステップを踏んで楽しんでいた。右へ左へ。後藤がステージを駆けまわった『獄衣deサンバ』では後方の観客まで想いを届けるつもりなのか、ステージに立つ照明塔によじ登り、視線を遠くへと向ける場面も。時おり潮風が吹き込む会場も爽やかさをその力漲るサウンドで根こそぎ奪うステージングは躍るピアノの旋律とジャジーな演奏が印象的な『あんたは誰や』に突入。

今、この瞬間のオーディエンスの熱、気温、空気。存在する全てのものがここでしか聴けない『あんたは誰や』を作り出しているのだ、という気がしてくる本能のパフォーマンスで自由奔放に音楽を楽しむ彼らの姿勢は“音楽の楽しさ”、そして“フェスの楽しさ”を改めて観客に知らしめたのだった。
 
 
 
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