Sky Jamboree 2022

SPECIAL REPORT

スペシャルレポート

ニガミ17才



ニガミ17才のライブ終了後、筆者は(Vo&Gt)岩下優介に「このライブを文章でまとめるのは無理!」と白旗をあげたことを先にお伝えしておきます。
バンドの纏う独特の雰囲気、演奏中の張りつめた緊迫感、ステージでの立ち振る舞い、音源とは違うライブならではの緩急の具合など、彼らの表現は文字化できない要素が多いのだ。

さておき、ニガミ17才としては2017年の佐世保以来となる長崎県内でのライブ。暑さ厳しい時間帯の午後1時にスタート!



まずは自身の楽曲「テクノロジーの鬼」をSEに中国かぶり面(大頭頭)をしたメンバー4人がステージ中央に登場。オーディエンスの目を釘付けにしたところで被り物をステージ中央の台に置き、それぞれのポジションにスタンバイ。岩下からの「いっちばん良い天気!」という一言を合図に1曲目【おいしい水】をプレイ。
繰り返される「曖昧に再現したい」のフレーズが印象的な活動初期からの曲。新ドラマー:ヨコピーのタイトな16ビートと(Ba)イザキタツルのうねるベースラインによって場内はあっという間にダンスフロア状態!

引き続きオーディエンスを躍らせるセレクト、2曲目は【ただし、BGM】。
この曲は休符と音符のバランスが見事!スタッカート主体のベース、トリガーでアタック感が増したドラム、軽快なカッティングのギター、随所に散りばめられるサンプリング音、そして撥音を活かした躍動的なボーカル。休符を味方につけることで生まれるグルーヴ感がたまらない!一方、平沢あくびのシンセサイザーは対比的にスラーで浮遊感を演出。片手で鍵盤を弾きながらもう片方の手を左右に振って、オーディエンスもあくびと一緒に手をヒラヒラ。



2曲を終えて「本日はSky Jamboree 2022、ご来場いただきありがとうございます!」と岩下。そのままMCに入るのだろうと耳を傾けていると「長崎県…佐世保市…〇〇町…(※実際は番地までハッキリと暴露!)。僕の実家ですので、この2日間が終わってからヒマな方は遊びに来てください。今日と全く同じことを家でやろうかと思います(笑)」との発言にメンバーもオーディエンスも大笑い!

3曲目は中華テイストの演奏と歌い方が耳を奪う【こいつらあいてる】だ。
ステージ中央後列の立ち位置からほとんど動かない代わりに、左手は低音と高音を目まぐるしく駆け巡るタツルのベースプレイ。この曲ではワウを使ったスラップが光る!
かたやステージ上を奔放に動き回るのはあくび。シンセを弾くだけでなくMusic Videoにも出てくる"三色だんご"を片手にダンスしたり色んなアクションで目を楽しませる!



語感とリズムの快楽はまだまだ続く! 4曲目はヨコピーのドラムから【化けるレコード】に突入!
鉄壁のベース&ドラムが生み出すファンキーなグルーヴの上で、巧みに言葉を繰り出していく岩下&あくび。特にあくびの歌う不思議なフレーズと岩下の「やかましい!」という掛け合いはユニーク!ペンライトを持って踊ったり、入場時の被り物にマイクを向けたりする岩下のパフォーマンスもユニーク!

演奏開始から20分。稲佐山全体がすっかりニガミ17才の色に染まったところで、次の曲はイントロから異質な雰囲気。彼らの真骨頂ともいえる【かわきもの】へ。
活動初期からプレイされている曲で、レポート化が最も難しいナンバー!

ここまでの4曲は4拍子で踊りやすいリズムだったものの、この曲は5拍子(しかもBPM速め!)。あまり馴染みのないリズムなので踊りにくそうかな?と思いきや、オーディエンスもこの20分間で好きなように身体を揺らす術を体得したようで、難しめのリズムでも自由にのったりハンドクラップしながら楽しんでいる模様。



金髪ロングヘアを振り乱しながら複雑なビートを叩くヨコピー、一音一音的確なところに低音を刺すようなタツル、ギターを弾きながら文字数の多い歌詞を畳みかける岩下。夏バテならぬ"音バテ"しそうなほど、外気温よりアツくヒートアップしたバンドサウンド!
その熱気を和らげるかのように、演奏から2分ほどでいったんブレイクを入れて「ちょっと一回水を飲もう!」と岩下。さらに「今日ごはんどうする?」と話しかけ(笑)あくびが『ちゃんぽん、いや!黒チャーハン食べたいです!』と回答。曲の途中なのに普通に会話という(笑)この緊張と緩和のバランスもニガミならでは!

そして「5拍子なんですよ、この曲。だからめちゃくちゃノリにくいやろ?それでいいんですよ。拍子なんて関係ないんで好きなように、自分が思うように楽しめば、それこそが音楽だと思うので。」と補足をしてから演奏再開。
MCのおかげで曲の理解度が深まった…と思っていたところ、一気に頭がこんがらがるような"拍子の坩堝"へ!

オーケストラの指揮者のように、バンド全体のグルーヴをコントロールする岩下。
「5拍子の曲で今アナタたちは4拍子の手拍子を打っている。これはもう音楽の奇跡!厳密にはヨコピーの上半身は5拍子、下半身(バスドラム)は4拍子。タツルボーイは5拍子を弾いている。(複雑だから)手拍子しにくいやろ?分かりやすくするために(演奏を)4拍子にしよう。」といって、1・2・3・4・5の合図をきっかけにシンプルな8ビートに変化。バンドとオーディエンスが一体となって4拍子を体感しているなか、突如あくびがラケットとボールを持って、三角を描くように卓球の素振り(※3拍子の指揮のイメージ)。

同じ曲に複数のビートが混在する複雑な展開ながら、オーディエンスも手拍子でしっかりレスポンス。さらに"2拍3連 / 白玉白玉 /付点4分音符"といったキーワードも盛り込みながらリズム遊びが続く。

さらにビートだけでなく曲調まで変化!
「この【かわきもの】という曲は、ジャンルでいうとロックンロールなんですが、ちょっとHIP-HOPにしよう!」との提案で、演奏は縦ノリから横ノリに変化。
「もっと変えていこう!ファミリー層も多いみたいだから、稲佐山に"演歌"をどうでしょう?」といって、スローテンポの演奏とこぶしを効かせた歌いまわしを披露。
さらにボサノヴァ調も交えつつ「このように音楽には様々なジャンルがあります。どれもかっこいい!皆さんも好きな音楽を好きなだけ楽しんで。今日僕たちの名前を憶えて帰らなくていいです。"音楽が楽しい"という事実だけ持ち帰っていただければ。」と岩下。
最後は原曲アレンジに戻り1曲で16分というカオスなパフォーマンスが終了!

ライブを終えたメンバーに話を聞いたところ、十分な手ごたえを感じたようで「次はちゃんとツアーでも長崎に来よう!」と決意したようだ。(ヨコピーに至っては"住みたい!"と思うほど長崎を気に入ったとのこと!)

"Don't Think, Feel(考えるな、感じろ)"という言葉がふさわしい。唯一無二のライブに圧倒された35分間だった!

SET LIST

1:おいしい水
2:ただし、BGM
3:こいつらあいてる
4:化けるレコード
5:かわきもの