10-FEET

まだイベントの知名度が低く動員数が多くなかった2001年。「呼んでもらえなかったから、代わりに”スカイ・サセボリー”ってイベントを明日やることにしました。」と、ライブのチラシ配りのために稲佐山まで駆けつけられた2003年。大雨のなかイベントの顔としてトリを務めていただいた2006年。イベント全体の出来を占うトップバッターを務めていただいた2007年。NAOKIの誕生日当日の開催で、ライブの真っ最中に(MCのところで)TAKUMAの母親に電話をかけるという演出があった2008年などなど。Sky Jamboreeはたくさんの夏を彼らと共に過ごしてきました。11回目の今年も否応なしに期待が高まるなか、本番前からさっそく面白いことが!
公開サウンドチェックとしていきなり演奏をスタートする3人。しかもカバーアルバム「Re: 6-feat」から圧倒的な人気を誇る『Stay Gold』!まだライブは始まっていないというのに一気にボルテージ上昇!さらに《B/Vo》NAOKIがメインボーカルとなる『GOOD GIRL』も飛び出すという、何ともサービス精神旺盛なサウンドチェック!

そして19時を少し回ったころ、雨の降りしきる稲佐山に荘厳なオーケストラ「そして伝説へ」が響き渡りメンバーが登場。客席に掲げられた無数の10-FEETタオルを背に、《Vo/G》TAKUMAとNAOKIはまず《D》KOUICHIのもとへ近づき3人で握手。毎年恒例、今回もNAOKIはSky JamboreeスタッフTシャツ(笑)
「なーがっさき!なーがっさき!なーがっさき!なーがっさき!」とファンを鼓舞して、1曲目はツインボーカルで歌い出す『4REST』!彼らの心の支えとなる4本の柱〜家族、仲間、酒、音楽〜を歌った楽曲をオープニングナンバーに選んでくれたこと。それはSky Jamboreeが彼らにとって家族であり、長崎のオーディエンスが仲間であるという意味の現れではないでしょうか。ただ盛り上がるのではなく、ハートとハートのぶつかり合いを求めているかのように「もっと来いよー!!」と叫ぶTAKUMA。

4RESTが終わった直後、全く間を空けずにキラーチューン『RIVER』になだれ込む!
序盤からの名曲登場にオーディエンスも「Oi!Oi!」と大歓声で応える!しかしTAKUMAに言わせれば、まだまだ声が足りないようで「腹から声出せー!!」と煽り立てる。そしてオクターブ奏法のギターソロのあと、「カステラ!ちゃんぽん!稲佐山!Sky Jamboree!!」というコール&レスポンスに進展。さらにダミ声パートでは「もっとダミ声で歌え、女子!!」「よっしゃ、普段おとなしい奴もっとかかってこい!オラァ!!」と、いつになく攻撃的なTAKUMA。アウトロでも「もっと来ーい!もっと行けんだろー!!」と声を荒げるほど。
ケガだけはすんなよ!!とお願いしたうえで、KOUICHIのドラムにラップを重ねて3曲目『1sec.』へ。「つぶしに来いよ稲佐山!!!」と、8000対3のガチンコバトルがスタート!低いポジションに構えたギターを武器に腹の底から歌声を絞り出すTAKUMA、骨太なベースとハイトーンコーラスで曲に厚みをつけるNAOKI、打つところと抜くところが巧みに構成された手数のKOUICHI。国内最高峰の3ピースサウンドに、オーディエンスも声の限りにコーラスを加えて応戦!

全力疾走の3曲を終え、ここからさらに加速!と思った矢先に「長崎ありがとう!10-FEETでしたー!!」と、わずか13分での終演宣言。お客さんがポカーンとしているところに「アンコール始めます。」と切り出して次の展開へ(笑)演奏時間に限りがあるフェスのステージにおいて、たった一言で場の空気を暴れるモードから聴かせるモードに変えるセンス。さすがとしか言いようがない!曲に入る前にギターをかき鳴らしながら荒々しい声でスピーチを始めるTAKUMA。「このイベントが好きですか?オレもめちゃくちゃ好きでーす!!初めて出たときはぶっ飛んだ!緊張して、上手くやるも下手くそもなく、良いも悪いもなくただただ緊張でぶっ飛んだよ!あの時みたいにめちゃくちゃになりたいなぁ!あれから何年も何年も毎年何本もライブして、ペース配分とか工夫とかしょうもないことを覚えやがって!今日はあの時みたいにぶっ飛んでやるからな!オレは、感覚がどんどん麻痺していく大人を、インターネットばっかり見て麻痺していくお前らやオレを、ありがとうやごめんなさいも、嬉しいもライブも、感覚が麻痺してきたオレやお前らを、めちゃくちゃにしに来たんだ!!!!」
ここまで怒りにも似た叫びをぶつけていたのは、オーディエンスに向けてではなく他ならぬ自分自身に向けていたことを吐露して『蜃気楼』を演奏。もともと歌詞とメロディが素晴らしい楽曲だけに、先ほどのMCにより更に感極まる内容に!

雨雲も10-FEETの気迫に押されたのでしょう、いつの間にか雨がやんで目の前のライブに集中できる状態になったところでTAKUMAが次の曲紹介。「忘れたいけど忘れられへんこと。忘れたくないけど忘れなあかんこと。『その向こうへ』」 イントロの演奏中”まだまだ!もっとぶっ飛べよ自分!!”と、己を追いつめるかのようにギターアンプに向かって吠えるTAKUMA。心の奥底にある、言葉にならない感情の塊を吐き出すような歌声。鬼気迫るその姿は見ている側まで身震いするほど。

「とにかくみんなケガないように!あと、ちょっとしたことで萎えんようにな!色んな奴がおると思うけど、いろんなことがソコ(客席)やソコやソコであると思うけれども、楽しむために覚悟!腹を決めろ!!」と、ダイブ・モッシュや痴漢行為など客席側のトラブルの元を正すかのようなMCの後、最後の1曲は『goes on』。トリのスカパラに向けてオーディエンスのテンションを高めておこう、という感じでBPM速めに攻める!隣の人とハイタッチさせたり、全員をジャンプさせたりとハッピーな演出も交え、最後はみんなを笑顔にしてガチバトル終了!

一度も地声にならず30分間咆哮し続けたTAKUMA。安いプライドでスマートに生きず、中途半端に賢く生きず。自分自身のしがらみを崩壊させるという気迫に満ちたライブでした。

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