キュウソネコカミ

「このバンドが来ればフェスが必ず盛り上がる!」(DJ YUYA)というのは大袈裟じゃなく、近年のフェス荒らしと言えば真っ先にこのバンドの名が上がるだろう。4番手はキュウソネコカミ、満を持してのSky Jamboree初出演である。

 70-80sアイドルの正統派歌謡風のSEに乗って登場してきたメンバーを迎える会場は、すでにお祭り状態。最後に「コレ誰が知ってんねん(笑)」と自虐的にボヤきながら現れたヤマサキセイヤに、爆'苦'笑交じりの歓声が上がる。そして、皆がよーく知ってるあのピコピコなイントロからのオープニングは『ファントムヴァイブレーション』。テクノポップ宜しく肉体へ訴求するビートに、ライブエリアからはみ出す勢いに膨らんだオーディエンスが一斉にダンスで応える。殺し文句ならぬ殺しフレーズ“スマホはもはや俺の臓器”の大合唱が響き渡る爽快さは、野外フェスのステージの真っ最中でもTLが気になってしょうがない誰彼を思うと一転シュールでもあり、痛快だ。続けてブチかました『ビビった』の性急さが火に油を注ぐように、ショービズF**kin'のパンキッシュな盛り上がり、ステージもオーディエンスもフリーダムに大暴れ。もちろん、“さあみんなで手を振って/さあみんなで踊ろうよ”と手を振る一体感もバッチリ。そんな“一体化した大観衆”へ「何千人の前でこの曲やるのは勇気がいるぜ!」と投下されたのは新曲『NO MORE 劣化実写化』と『家』の連続弾! この構成だけでも面白すぎるのだが、“海賊版はダメダメ”とダメダメジャンプでさらに一体化した大観衆と共に、「3、2、1、イ・エ(家)〜〜〜!!」を合図に“家”を連呼し“イエ”を叫びまくる、否、叫ぶだけの光景は超絶だった。あまりの頻度で自然発生しているもので記してなかったが、ほとんど冒頭から続出だったサークルモッシュもさらに大発生。

 MCでは、Crossfaithで起きたウォール・オブ・デスを引き合いに「ここは戦場やったんやな〜。モッシュする時はケガせんように、ヒジとかヒザとか禁止ね。カラダの柔らかいとこでな!」と気遣うヤマサキに、ヨコタシンノスケ(Key.)が胸筋を突き出しながらじゃれる。「こーやってね」(ヨコタ)「オッパイは出さんでええからね」(ヤマサキ)・・・どんだけ楽しいんだキミタチ(笑)。

 そして迎えた終盤戦はいよいよの真骨頂。「誰よりも深くあなたのとこに行きたいと思います、全国のヤンキーを代表して!」というヤマサキの雄叫びからの『DQNなりたい、40代で死にたい』は、凄まじく正しいパンクであった。お馴染み“ヤーンキーこーわいー”のコール&レスポンスと大合唱の中、ライブエリアに飛び込み無数のオーディエンスの腕に支えられて人波を歩き渡るヤマサキは「オイ!昨日の山口より全然いい感じやで!」と皆を煽って最終的にライブエリア最後方のPAブース手前まで到達し、その絶景をギラギラした顔で見渡す。ローリングでステージに戻った後は“DQNなりたい!”“40代で死にたい!”と再び全員でバースト。

「こんなんやったら来年も来たいわ!来年も帰ってくるからその時まで元気で!」

 絶叫と歓喜が稲佐山を巡る中、ラスト2曲は『ハッピーポンコツ』『ウィーワーインディーズバンド!!』で大爆発! バンドのエネルギーとユーモアをめいっぱいキワキワまで発揮し突き抜ける唯一無比のパフォーマンスで、キュウソはしっかと稲佐山に噛跡を残した。

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キュウソネコカミ
Set List

M1. ファントムヴァイブレーション
M2. ビビった
M3. NO MORE 劣化実写化
M4. 家
M5. DQNなりたい、40代で死にたい
M6. ハッピーポンコツ
M7. ウィーワーインディーズバンド!!

photograph by Yuki KATSUMURA

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