ヤバイTシャツ屋さん続々と集結する、という表現があまりにもぴったりな景色だ。DJ YUYAの前説が始まり、ライブエリアに見る見る人が溢れてくる。ヤバT人気の証だねぇなどと呑気に構えていたら、さらに溢れてギュッと前方に詰まり空いたところにさらなるオーディエンスがなだれ込んであっという間にライブエリアは満杯! 振り返れば、扇状形に広がる芝生の斜面を覆うレジャーシートと数多の笑顔! 『Sky Jamboree 2017』、スカイブルーの空の下、壮観の幕開けである。 トップバッターはヤバTことヤバイTシャツ屋さん、今最も引きの強い3ピースだ。 “はじまるよー♪はじまるよー♪”という牧歌的なSEに乗って登場したメンバーを迎えたのはオーディエンスの大歓声。そして「ヤバイTシャツ屋さんのライブが始まるよー!!」のシャウトで1曲目『Tank-top of the world』がスタート。午前11時の稲佐山に響き渡る圧倒的な爆音に、前方ではダイブが、後方ではサークルモッシュが、如何ともしがたく発生している。熱狂が会場全体に伝播するなか突進した2曲目は『ネコ飼いたい』。ポップだったりパンクだったりメロウだったりの起伏の激しさを、瞬発力と機動力を両輪に備えたストレートなバンド感で乗り切っていく様は痛快だ。したり顔のこやまたくや(Gt.&Vo.)の「ナガサキー、一緒に歌ってくれよー!」という所謂“いい歌”風のシンガロング要求はどう考えたって可笑しいんだが、有無を言わせぬ勢いで大合唱を生んでしまうのが凄い。 そのこやま、口を開けば「おはようございます!」「おはようございます!!」「おはようございます!!!」「長崎来るん2回目です!!」とまくしたて、「FM長崎って10年くらい前までスマイルFMやったって知ってる?」と(2回目だけど)ドヤ顔で長崎ネタを披露。かと思えば、オーディエンスを「客」呼ばわりし、しばたありぼぼ(Ba.&Vo.)から速攻のツッコミを受けながら「今日はこれから、畳み掛けるようなライブ!畳み掛けるようなライブ!畳み掛けるようなライブ!をやるんで!」と畳み掛ける。周到なボケ倒しでも勢いを衰えさせない見事なカブセMCに、会場の彼方此方から爆笑と歓声が上がる。続く3曲目『L・O・V・E タオル』ではそんな両者のエネルギーが大爆発! 一斉にビュンビュン回るタオルはさながらプロペラのように炎天下に疾風を巻き起こし、各々のプレイも前のめりに全開。さらに「大阪の歌を歌います、あばれろ!」と、唸るベースで低域を揺らしながらハイトーンボイスで天空をつんざくしばたとのツインボーカルが光る『喜志駅周辺なんもない』を長崎への盛大な媚びと共に繰り出し、もりもりもと(Dr.&Cho.)のアジテイトなドラミングが理性をなぎ倒す高速ビートの『無線LANばり便利』から間髪入れずの『ヤバみ』と、まさに文字通り畳み掛けた後半4曲。そして、ゆるいMCとデマカセメンバー紹介を挟んでのオーラス『あつまれ!パーティーピーポー』で本日最大の大爆発、大沸騰。清々しささえ覚えるほどに骨格逞しいヘヴィーなアンサンブルに、やまないダンスで応えるオーディエンスの顔がキラキラしていて眩しいことこの上ない。 ヤバTの大いなる魅力は、その度を超えたナンセンスな世界観にもしかしてこれはとんでもなく深い意味があるんじゃなかろうかと一瞬ロダンの彫刻化してしまうほど率直で「写実的な現代および現実描写」であろうが、それはこの3ピースの衒いも狙いもギミックもないバンド表現だからこそ、凄まじい破壊力をもってオーディエンスの心身に飛び込んでいくのだ、と実感させられた光速30分だった。 +++ ヤバイTシャツ屋さん Set List M1. Tank-top of the world M2. ネコ飼いたい M3. L・O・V・E タオル M4. 喜志駅周辺なんもない M5. 無線LANばり便利 M6. ヤバみ M7. あつまれ!パーティーピーポー |
photograph by Yuki KATSUMURA |
