THE BAWDIES

 その登場を前に、モッシュエリアは超満員。コスプレしたファンも現れたほどの人気を見せつけ、膨れ上がる期待感でライブ前から会場をホットにしていたのは誰であろうTHE BAWDIESだ。本番前にステージでサウンドチェックで演奏した『SHAKE YOUR HIP』で火がついていたようで、登場が告げられると、歓声によって稲佐山が揺れていると錯覚してしまうほど!膨れに膨れてていた熱気を取り込み、ロックンロール・パーティーはスタートだ!
 朝の悪天候のおかげで砂ぼこりを巻き起こさないモッシュエリアは、無我夢中でビートを掴み、踊り、ステップを踏むオーディエンスの動きによって泥が跳ね上げられ、観客は泥だらけになっている。それでも気にすることなんてない。今はただただ彼らの心躍らせるビートと共に在りたい。そんな観客の気持ちが見える稲佐山にヘヴィにグルーヴする『IT'S TOO LATE』が鳴り響く。MARCYのドラムとROYのベースが全力でぶつかりあうような熱のあるビートを奏でると、負けじとそのビートに体を打ちつける観客。その様子にJIMとTAXMANのギターも鋭さを増す。煽り、煽られるステージングは続く『JUST BE COOL』へ。
 楽器が歌うように軽快なリズムを鳴らすダンサブルなナンバーを、腰を揺らして楽しむ観客たち。ところが。ROYは叫ぶ。「まだまだ心を裸にしてないんじゃないですか?心のブラジャーですか。心の紐パンですか。そんなもん…とっちまえよー!!」と。そして『YOU GOTTA DANCE』へ。ギターとベース、ドラムのみならず、歌声でも小気味よく刻まれるビートがひとつの楽曲となり、ソウルフルなROYのボーカルが響くと、観客は皆、ROYの言葉の通りにハートが着用するアンダーウェアを取り去って(!?)踊り出す。その様子にステージ上の4人も笑みを浮かべていた。続けて溢れだすカラフルな音に圧倒される『B.P.B』では高く挙げられた腕が、シェイクするビートと共に揺れている。続く『HOT DOG』では小刻みにステップを踏みながら、跳ねるオーディエンスのテンションが、楽曲の疾走する熱気と共に上昇をしていくのを感じた。誰もが夢中で踊る中、『KEEP ON ROCKIN'』が稲佐山に響く。これぞロックンロール・エンターテイメント!と呼びたくなるほどのロックナンバーは、オールドスクール的なのに革新的で、斬新。その音と歌声で全身の感覚を奪われてしまう一曲に、大きなクラップの音が沸く。コール&レスポンスも山肌を震わせるほどなのに、メンバーはまだ足りなかった様子。「最高のクラップをくれませんか。この最高の瞬間を心に刻みつけたいと想いませんか?」とROY。その声に山肌を揺らすほどだったクラップ音も観客の歌声も、より強大になっていく。たったひと声でロックンロール・ショウをより熱いものにしてしまうのはさすが!日頃のモヤモヤを全部吐き出すほどの声をROYのシャウトに重ねる1万人のオーディエンスも満面の笑み。そして最後は『A NEW DAY IS COMIN'』。PVでROYが炎を吐きまくってシャウトするのが印象的だったこの曲で、稲佐山も火を吹くほどの熱を放って、彼らのステージは幕を閉じた。また稲佐山に立つ日への期待感を刻みつけて。

photo

photo

photo

photo

photo

photo

photo

top ページのTOPへ
10-FEET

 ドラゴンクエスト3のエンディング曲「そして伝説へ」のオーケストラバージョンの荘厳で壮大な旋律が稲佐山を駆け巡る。2011年8月21日の稲佐山での10-FEETの“伝説”が今、始まろうとしている。ステージの前に集まったオーディエンスは、歓声をあげる者、肩車されて大きく腕をあげる者、ただただ熱を体に充満させ準備する者、それぞれが思い思いに熱い気持ちを抱いて待っていた。今や“ミスター・スカイジャンボリー”と呼べるほどに、このイベントを愛し、このイベントに愛され、そして空で見ている有森氏に愛された彼らの登場を。
 「さぁ、いこうか。稲佐山ー!」
 ステージでギターを肩に掛け、オーディエンスを見渡したTAKUMAが声をあげる。そこにNAOKIのベースの音が響き、ヘヴィなリフが重なり、始まったのは『super stomper』。ラウドに轟く音に一斉に跳ね、そのジャンプが生む地響きのような震動がビートをパワーアップさせていく、そんな瞬間この日、初めて重く垂れこめた雲の切れ間から陽の光が差し込んだ。太陽の熱を加え、ヒートアップする一方の観客と10−FEETのメンバーたち。続けて畳み掛ける『VIBES BY VIBES』。次々にステージ前へとダイブする者も続出。血湧き肉躍る。滾るエネルギーを観客1人1人が自分の“表現方法”で体現していく。
 曲が終わり、空を見上げたTAKUMAは言う。「有森さんが亡くなった今も、陽気な仲間が集まって、どんどん広がって来てます。あの人がやってきたことは、こうして今のみんなの笑顔に繋がっていると思います。有森さんよろしく。最後まで見ていてくれ」と。3曲目は『RIVER』。会場が声をあげ、共に歌う。センチメンタルでも何でも、笑顔と音楽を愛する心で歌っていれば。こんなに空に近いところからなら届くはず。空にいるあの人へ。
 小気味よく躍動するギターとベース、ドラムの音に体を任せていると、ここでスペシャルゲストとしてDragon AshのKjが登場。『RIVER』に息づく魂の声を、一万人が一体となってあげていく。その一体感は次の『風』でも続いていく。けして激しい歌ではないけれど、挙げられた腕は下ろされることなく、音を共に楽しんでいるのが伝わってくる。「一生懸命生きるっていうのはどうやるんだよー!!教えてくれよー!!長崎ーーー!!」とTAKUMAの叫びから鳴りだした『1sec.』。イントロが熱い躍動感を伴って、会場全体を包み込む。10-FEETと稲佐山に集う1万人が見せつけたのは「一生懸命生きる」こと。命を燃やし、全身全霊で音楽に向かうこと。KOUICHIが打ち込むドラムの音が観客を扇動しながら、ラストの『goes on』へ。体と心が動き出す。揺さぶられる。震える。それを誰もが実感していた。彼らのグルーヴ同様に、オーディエンスの熱気も強烈なまでのVIBESを放ち、会場の気温が上昇したような気がした。そんなステージを降りたTAKUMAは会心の笑顔だ。
 「地元のイベントみたいな気が、勝手にしています。派手に盛り上がっていても、地味でも、心の底から盛り上がってくれているんだろうなって信じられるんです。見た目でどうなっていても、必ず後から沢山の気持ちをもらえる。オレらにとってはそんな場所です」

photo

photo

photo

photo

photo

photo

photo

top ページのTOPへ