KenYokoyama

これまでに出演された8組のアーティストが異口同音に「お客さんの”待ってました感”がすごい!Sky Jamboreeのお客さん最高!」と。他のステージや余興めいたものなどがないので集中力が分散せず、目の前の大自然とライブだけを純粋に楽しむオーディエンス。その姿に感動した、と。雪だるま式に上昇していく観客のボルテージが、バンド側のテンションも高揚させていくという相乗効果!これぞSky Jamboreeマジック!イベント終盤の今を”麺を茹でているシチュエーション”に例えるなら、煮えたぎって吹きこぼれ直前というほどの状態にある稲佐山。そこへびっくり水を注入するかのようにTHE BAWDIES後から激しい雨が降ってきたものの、ライブが始まる前には収まり一安心。17時55分から日本のPunk Rockを代表するカリスマ=Ken Yokoyamaが登場!

2010年以来となるSky Jamboree。この4年間のうちにKEN BANDを大きく変化させたドラマーの交代、そして東日本大震災の発生。それらを経て今回、長崎で何を歌い何を語るのか?キッズ達の熱い注目を集めるなか《D》Matchan考案のセットリスト、1曲目はKenがやおら奏でるアルペジオから『Running On The Winding Road』がスタート。最近メインで使用しているギター:Gibson ES355を、大きく足を開いて低いポジションでかき鳴らすKen。ソロ1stアルバムからの人気曲ということで、早速ダイバーが次々に出没。(※ダイブは禁止行為です。) アウトロのフィードバックノイズに被せてMatchanがリムショットを刻み、ナチュラルな繋ぎで2曲目『Can’t Take My Eyes Off Of You』へ!昔からカバーの選曲センスと巧みなアレンジ力に定評のある彼。もう1人のギタリスト:Minamiとのツインギターの絡みが、甘酸っぱいメロディを際立たせる!誰もが知る名曲だけに前も後ろも大合唱!

一般的な野外イベント比べステージが低く、目線や客席との距離感がライブハウスに近い稲佐山。まさにハコさながら、前列のファンと普通に会話をする感覚でMCするKen。「4年ぶりに戻ってきたよ!いいんだよな〜この斜面の感じが!」と、久々の稲佐山を満喫しながらメンバー紹介。MinamiはKEMURIのステージに飛び入りしたことを冷やかされつつ(笑) 次の曲ではこんな呼びかけが。「オレ最近ライブのときに日の丸振ってんだけどさ、もし持ってきた人がいたら一緒に振ってくれよ!旗じゃなくてもいいよ、10-FEETが好きだったら10-FEETのタオル見せてくれよ!KEMURIのタオルでも、Tower Recordsのタオルでも、東北ライブハウス大作戦のタオルでも、手に持って勇気が湧くもんだったら何でもいいと思うんだよな!」 すかさず手に持っている国旗やタオルを掲げるオーディエンス。Ken自身も大きな日の丸をマントのように肩から掛けて「じゃあここ長崎でずーっとフェスを続けてるSky Jamboreeに、あとここに住んでいる奴らに敬意を表して演奏するわ。ここは君らの土地だろ!」と、3曲目『This Is Your Land』を熱演。真摯な想いが込められた本物のパンクロックに奮い立たないわけがなく、力強く旗やタオルを握りしめた拳が無数に挙がる!続いて『Your SAFE ROCK』をプレイ。格好だけのパンクを批判するというメッセージ性だけでなく、ギター小僧の憧れ=Ken&Minamiの高速ピッキング、速くて手数も多いのに難なく叩きまくるMatchanのドラムパターン、そして《B》Jun Grayの得意とする歌メロ同格にメロディアスなベースラインという、4人のテクニックにも痺れるナンバー!

チューニング中ファンからのおかえり!という言葉に対して、なぜ4年間出られなかったのかを毒舌MC。※決して彼の素行が悪いからでなく、前回の打ち上げでKen Bandスタッフが大暴れしたせいでもなく、ましてやSkaの曲が無いからでもありませんので!(笑)
次の新作にSkaが入ればまた来年出られると思うから、というジョークを交えながら全く堅苦しくない雰囲気のなかサラリと真面目な話に。「オレは自分のやってる音楽、何がなんだか正直言ってよく分かってないけど気持ちはPunk Rockやってると思ってるわ!Sex PistolsやThe Clashが持ってるものとは精神性も違うかもしれないけど、これが今の2014年の、日本で生きる40代の男のPunk Rockなんだわ。オレは下ネタと同じ感覚で集団的自衛権がどうだの、震災とか土砂災害がどうだのって話をするんだ。で、今日はフェスティバルだから思いっきり楽しんで帰ってほしいんだけど、ロックンロールとかPunk、Skaが好きだったら明日からでいい、ちょっとだけでいいから、家に帰ってから世の中がどんなことになってるのかな?っていうのを考えてみてくれ。そうすると巡り巡って、それはロックンロールが教えたってことになるからさ。頼むぜおい!」
心揺さぶるスピーチでオーディエンスの気持ちを団結させてから、「一緒に歌ってくれ」と合唱を提案。Kenが歌った”ウォーオー”というフレーズを全員で大コーラス。そのアカペラのメロディと、開放弦まじりのアルペジオが織り成すドラマチックな演出で『Save Us』に突入!声高に愛を歌うこの楽曲、Kenが1人で歌うのではなく全員で合唱することで曲そのもののメッセージとシンクロし、感動的なパワーを生み出す形に!

その後ギターをGretch ホワイトファルコンに持ち替えつつMC。「オレらみたいなオジサンが教育的なことを言ったりするのも、そんなに悪いことじゃねえだろ?」と笑いながら話しつつ、これからの世の中をよくするために頭を使うことの重要性を熱弁。「オレが今しゃべったことを結構真に受けて真剣に考えてくれる奴も2〜3人はいるはずなんだよ。他の大勢は”なんだろう、あのオッサン”で、まぁ別にそれでいいんだよ。その2〜3人、未来に繋いでいってくれよ!」とバトンを託したところでKEN BANDのテーマソング『Let The Beat Carry On』そして『Punk Rock Dream』を立て続けに演奏!これぞメロコア、というキャッチーなメロディ&煌びやかなギター・ベース&スピーディーなドラム!泥まみれ覚悟でファンも大暴れ!

「最後に1stアルバムから『Believer』って曲やって帰るわ、この曲はマイクをそっちに投げるから、近くにマイクが飛んできた奴は歌ってくれよ!」と、曲解説をしているときに雨が降っていることに気づいたKen。「考えがあんのよ、雨が降ってきたらやろうと思ってた曲があって。それを挟んでからBelieverやろうかな!」と、B.J.トーマスの名曲『Raindrops Keep Falling On My Head』カバーが急きょセットリストに追加!“恵みの雨”とはまさにこのこと!

そして予告通りラストは『Believer』へ。昨今の彼らのライブでは定番となっているマイク投げ。自分だけが歌うという一方通行のライブではなく、お前らの歌も聴かせてくれ!との想いがあるのでしょう。Kenの1、2、3、4、5というカウント直後、イントロのサビフレーズから大合唱!マイクが近くに来たファンは、次々とバトンリレーでリードボーカルを担当。自身の白いマイクだけでなくJun Grey用のコーラスマイクも投げるKen。Minami用のマイクで何カ所かはちゃんと歌いつつ、8000人みんながKEN BANDという光景を作り上げて大団円を迎えました!

この日のメッセージが胸に響いたのは、きっと2〜3人ではないはず。稲佐山に集った全員がロックンロールを人生の教科書として、これからの世界を築いていきましょう!

(こぼれ話)バンドスタッフの茶目っ気で、Minamiのピック置き場にはKEMURIのギタリスト:Tのピックがセットしてあったそうです(笑)

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