伊藤ふみお

 第一回の長崎Sky Jamboreeから、KEMURIが解散するまで連続出場を続けてきた伊藤ふみお。自身のスカジャン出演は、なんと今回が10回目となる。最多出演者である彼の歌を聴くために、また多くのファンがこの地に帰ってきたと聞く。そんな伊藤ふみおは、軽快なステップと共にステージへ登場。1曲目からご機嫌なスカ・ナンバー『One.Two & Go!』で待ち構えていたオーディエンスのハートをアゲていく。
 今回のライブは超豪華メンバーで構成された伊藤ふみおバンドが同行。バンマスであるベースのtatsuをはじめ、ギターは小暮晋也、オルガン&ピアノに荒井伝太、トロンボーンの宮内岳太郎、トランペットの佐久間勲、サックスの田中邦和、スティールパンの原田芳宏、ドラムの平谷ショウジという層々たる顔ぶれ。そのメンバーで鳴らすスカ・サウンドに、楽しげにステップを踏んで踊る観客たち。やっぱりスカジャンにはスカ・バンドもいないとねっ!とばかりにステップにも熱が入る。続いて『あしたへ架かる虹』では「いつのまにここはビーチになったんだろうか!?」と思ってしまうくらいに爽やかで心地よいメロディがビートと共に聴衆を揺らす。好きなように踊り、ステップを踏み、ビートを堪能するオーディエンス。中には手を取り合って社交ダンスさながらなダンスを楽しむカップルやお尻をふりふりとキュートなダンスでライブを味わう子供たちの姿も見える。全身で音を楽しむ伊藤の気持ちが会場にも染み渡っていくのを感じる、そんな時間。その様子を見渡す伊藤の気持ちは「最高です」と何度となく口にした表情が物語っているように感じた。
 3曲目のイントロが耳に届くと、会場は騒然。驚愕の声が歓声へと変わり、次々にモッシュエリアへオーディエンスが駆けこむ。『kanasimiyo』だ!アグレッシヴなビート感と唸るギターが駆けるKEMURIの名曲を歌いながら、跳ねる観客同様にピョンピョンとジャンプする伊藤。共に歌って応える稲佐山が沸きに沸く。続いたのはガラリと雰囲気を違えた1曲『Ska for Dabby』。スティールパンの音色が気持ちよく響くインスト曲を堪能した後にはギターが唸りをあげ、分厚いビートがオーディエンスを圧倒する『懲りない馬鹿は世界をめざす』が。天を指さし、高く高くジャンプする伊藤と同じく、空へと指を伸ばし高く跳ねるモッシュエリアの観客たち。まだまだ楽しめるぜ!とばかりに元気に、跳ねていた稲佐山の聴衆を、再び大騒乱のダイブ&モッシュへと誘ったのは懐かしいナンバー『Ohichyo』。KEMURIのライブのマストチューンにモッシュの輪がどんどん大きくなっていく。
 豪華メンバーによるゴージャス・スカパンクは煌びやかなまでの躍動感と疾走感、そして圧倒的なパワー感を放ち、会場は凄まじい興奮に包まれた。夕暮れから夜へと色を変えた群青の空を見上げてから伊藤が話しだす。「体と心と全部を使って、バンドを応援しているみなさんを見て、身の引き締まる思いでした」と。満足気な笑顔をのぞかせてからラストの『LOUD and PLOUD!』へ。クラップが湧きあがり、軽やかなビートと重なり響いていく。心が歌で繋がり、ひとつになっていく。
 そんな時間だった。沸きあがった「PMA!PMA!」という声。いつも前向きで明るくポジティヴな精神。そんなPMAは確かにここ稲佐山に刻まれたのだった。

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Dragon Ash

 ステージへと出て行く直前。Dragon Ashのメンバーは全員で手を繋ぎ、輪になって気合を入れていた。掛け声が響く。「ミクスチャーロックここにありっていうのを見せたいと思いまーーーす!」。長崎Sky Jamboree、13回目にして初登場となる彼ら。圧倒的なパワーとパフォーマンス力を誇る日本の至宝のライブバンド・Dragon Ashが、ついに稲佐山に姿を現した!
 感情が溢れだし、肉体が波を起こすように躍動するATSUSHIとDRI-Vのダンスに視線を奪われながら、静かに始まる『静かな日々の階段を』。紡がれるKjとHIROKIのギターの音色と、優しく刻まれるSAKURAIのドラム、そしてKenKenのベースにBOTSのスクラッチ。全ての音がエモーショナルに響き、会場を包み込んでいく。ベーシスト・IKUZONEが欠場のためにライブをサポートするRIZEのKenKenはIKUZONE自身のベースを使用し、IKUZONEの心が共にステージに在ることを感じさせる。そんな静かな始まりが一転、ラテンの軽快なリズムが洪水のように放出される『For divers area』へ。モッシュピットは嵐のようなモッシュとダイブでヒートアップ。もちろん芝生エリアも大きくジャンプして全力で彼らのミクスチャーを堪能する。ライブを楽しむ人のために作られたこの曲の主役は会場を埋め尽くす1万人のオーディエンスなのだ、と改めて感じた。続けて『AMBITIOUS』を…と始めたところで機材にトラブルが。ライブが中断して…となったところでKenKenのベースから予定外のジャムセッションがスタート!トラブルが生んだちょっとした“ボーナストラック”に会場は歓喜。華麗かつ情熱的なダンスで魅せたATUSHIのマントを使った即興のパフォーマンスに拍手喝さいが沸いた。気を取り直してリズミカルな楽曲に力強いメッセージを宿す『AMBITIOUS』。さらに4曲目となる『SKY IS THE LIMIT』では10-FEETのTAKUMAがゲストに登場。TAKUMAのシャウトに煽られ、Kjの歌声も熱を帯び、2人のガチンコ共演に観客が沸いた。
 「せっかくなので、この雰囲気にぴったりな曲をやります。聴いてください。『美しい森』」とKjがアナウンス。「え?そんな曲あるの?」とざわつく会場にニヤリと笑ったKjが叫ぶ。「そんな歌はございませーーーん!」地を揺るがすほどのラウドな音が轟き『Fantasista』が鳴り響くと、ステージ前はモッシュにダイブが激しさを増し、後方で見ていた観客も頭を振る。TAKUMAのギターも唸りをあげ、ステージのメンバーも観客も一緒になって飛び跳ねていた。長崎の空まで熱く彩ってしまうくらいの勢いで。
 「我々が一番大切にしている曲をやって帰ります」の言葉でBOTSのスクラッチが響く。珠玉の名曲にして、彼らの代名詞とも言える1曲『Viva la revolution』だ。イントロから稲佐山は激震。大きな歓声とその歓声に負けないくらいの温かなクラップが起こり、さらにそれらの音を凌駕する歌声が山肌を覆う。「Viva、Viva、la revolution!」と。温かな空気でいっぱいになった会場に笑顔を残して。Dragon Ashはステージを降りて行った。「初めてのスカジャンどうだった?」とKjに尋ねると「う〜ん。機材のトラブルがね〜」と渋い顔。「でも絶対にリベンジしたい。最高のライブをしに戻ってくるよ」とのこと。その日を楽しみにしたい!

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