FUNKIST

 会場に到着して「ライブが始まってる!?」と慌てたファンも多かったはず。実際に山肌から響いてくるグルーヴ感たっぷりの歌声に、掛け足になる観客も多かった。それもそうだ。Sky Jamboree 2011の先陣を任されたFUNKISTのサウンドチェックは、既にライブの様相を呈していたのだから。鳴らされていたのは『こどもたちのそら』。歌詞のところどころを、稲佐山バージョンに変えてのパフォーマンスに、既に会場の空気を温めていたオーディエンスは大歓声で応えていた。「ありがと〜!稲佐山〜!サウンドチェックが本当のライブになったよー!!」と染谷西郷も笑顔で手を振って、一度ステージから降りる。しかし稲佐山に集まったファンのハートに火はつけられ、「Oi!Oi!Oi!」の掛け声も沸きあがり、盛り上がる準備は万端。その声に誘われるように、ステージへと駆けだした染谷が咆える。「幕開けといこうか。Sky Jamboree 2011!」。
 フルートの春日井陽子が体調不良で出演が出来ず、6人でのパフォーマンスとなった彼らのステージは『BORDER』からスタート。3年連続出演で、超えようとするボーダーは一体なんなんだろう。それはきっとまだ箍を外していないオーディエンスの盛り上がりのボーダー。躍動するビートにじっとしていられなくなった観客が次々にステージ前へと駆けていく。「2度と戻らない今を!」と染谷が叫び、「オーーーッ」と大きな歓声が会場を揺らす。後方の芝生エリアの観客までも大きく手を挙げてタオルを回した『SUNRISE』では、住職のドラムとオガチの叩きだすパーカッションが生み出す軽やかで生命力あるビートに1万人が跳ねる。「空まで届くんじゃないかー!?飛べー!稲佐山ーーー!!」と染谷の声で一斉にジャンプする観客。スカジャンへの愛も溢れだす。ギターと染谷の歌声だけで静かに響きだす『愛のうた』。「届いているよ」と言わんばかりに大きく手を挙げて応える聴衆。楽器の音がひとつ、またひとつと重なるのと同じく、会場から沸き上がった歌声が重なっていく。染谷もマイクを口元から外し、生声で歌い、愛が会場を包んでいく。そして東日本大震災復興支援チャリティのために32年ぶりに共闘した新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアの3大メジャープロレス団体を繋ぐテーマソングとして書き下ろされた『ALL TOGETHER』が響く。三団体同様、日本の全ての人たちの心を繋ぐ、力強い曲。宮田泰治とヨシロウのギターの音が熱を帯び、JOTAROのベースも山肌を震わせる。倒れても倒れても諦めない強さ。倒されても倒されても立ちあがる心。人間の底力を感じさせる歌声で稲佐山がひとつに。モッシュエリアは超満員。1組目から全力で楽しむスカジャンファンの心意気がFUNKISTの想いと共に強大なパワーを放ち、2011年のFUNKISTのスカジャンのステージは幕を閉じた。
 「大事な大会の第一試合を任せて頂いて嬉しかったです。全てが神がかっていた、そんな時間でした。参加出来て良かったです!」とライブ後にJOTAROも興奮のままに話してくれた。ステージから見た景色は壮観だったそう。稲佐山に愛されるFUNKISTはきっと来年以降もここで愛溢れる歌を響かせるだろう!

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毛皮のマリーズ

 スカジャン初登場はもちろんだが、実は長崎初ライブだった毛皮のマリーズ。エディット・ピアフの『愛の讃歌』をSEにドラマチックな一歩を踏み出した。
 「はじめまして〜〜〜!」と志磨が声をあげると、モッシュピットにはどんどん人がなだれ込んでくる。ライブ開始からクライマックスのような熱気が湧きあがる中、挨拶がわりの一曲目は『ボニーとクライドは今夜も夢中』。越川和磨のギターが唸り、栗本ヒロコのベースは軽やかでリズミカルなベースラインを刻む。諫早出身の冨士山富士夫のドラムは圧倒的なパワー感でビートを叩きこみ、そんな音が暴力的なまでのグルーヴを生む。妖艶な歌声を響かせて稲佐山を魅了する志磨に心を奪われてしまう!2曲目はそのビートに体が浮きあがるほどの高揚感を味わえる『REBEL SONG』。リズムに合わせて踊り、その長い脚を高くあげる志磨に煽られ、ファンも腰を揺らしてグルーヴを堪能する。天に向けて挙げられた手が雲を押し上げていくと、志磨の歌声もそのアクションに応じるようにパワーをあげていく。ロンドンレコーディングを終えてきたからこその(!?)英語混じりのMCで、諫早が生んだドラマー・冨士山が紹介され、彼の鼓動を思わせる力強いリズムが印象的な新曲『HEART OF GOLD』へ。キラキラした想いの込められたナンバーは、会場に幸福の笑顔をもたらしていくよう。ロンドンの風を感じさせた後は珠玉のラブロックチューン『Mary Lou』だ。大きくクラップをするオーディエンスの動きは楽曲が進んでいく中でモッシュへと動きを変えていく。例年は砂埃を巻き上げるモッシュエリアも今年は雨上がり。しかし泥だらけになろうとも踊り続ける観客のハートは熱くたぎっていた。人生を美しく。そんなメッセージを宿す『ビューティフル』では大合唱が巻き起こり、その美しいメロディが山肌を席巻。毛皮のマリーズが全身全霊で鳴らす歌を、全力で楽しむ観客の姿に、“これぞ愛の交歓!”と感じる。最後は『コミックジェネレイション』。そこかしこに観客の輪が生まれ、共に踊る。友人同士のみならず、知らぬ同士も毛皮のマリーズの歌を楽しむ“仲間”。これぞコミックジェネレイションの音楽の楽しみ方なのかも。素晴らしきかな。音楽への愛がいっぱいの時間とは。
 「お願い!手拍子を止めないで!別れを惜しんでよーーー!」と志磨が言うと、みんな大きな声で歌いながら大きなクラップを鳴らして、別れを惜しみに惜しむ。ピースフルでホットな空気で稲佐山をいっぱいにした毛皮のマリーズだった。
 「初長崎はとてもよかったです。お客さんがあんまりいっぱいいたのでビックリしちゃいましたが。思わず、わぁっとしちゃって。ドラムが諫早の出身なので“おかえり”というのもあったのかも。若者の勢いが違う感じがしましたね。何人もダイブしていて驚きました。興奮しました」というライブ後の志磨の言葉。
 そんな毛皮のマリーズはスカジャンへの出演を果たした数週間後に、突然の解散を発表した。長崎での初ライブはまさかの長崎ラストライブに。残念。あまりにも残念。だがしかし。きっと稲佐山で彼らを見た観客のハートは叫び続けるだろう。毛皮のマリーズのライブはビューティフルだった!と。

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